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欲しがるから遠ざかると知ってるはずなのに

土曜の夜に見てきました、ガブリエル・シャネル。以下、ネタバレも含むかもしれない感想。ちょっと時間がたってしまったので今井さんの感想はあんまりナイです(えぇぇー!)昨日の歌舞伎鑑賞会で亀鶴さんが「歌舞伎は高尚なものではなく、庶民が楽しむもの。それが今のように芸術性が高く評価されるようになったのは、“妥協せずものを創る”ということに精進してきたからだと自分は思っています」というような意味のことをおっしゃってまして、あー、なんか同じようなことをシャネルも言ってたなぁ・・・と思ったら、レベルが天と地ほど違うのはわかっているけど、一応ものを創るお仕事をしている身としては、いろいろとお仕事に対する姿勢のことを考えてしまったんですよね。
ガブリエル・シャネル】7/11 17:00
英国紳士な今井さんは文句なくかっこよかったです。最初の頃はキザな台詞や動作に、ぎゃーむずがゆいぃぃぃー!と思ってしまったけど(笑)だんだん慣れてきたら、ほわー!かっこいぃぃー!!となりました。特にラストの方で着てる、クリーム色の乗馬服(=ノッチドラペル←襟のカタチ)*1だけど燕尾服みたいにロング丈のやつ、かっこいいわー。洋服のことは素人ですからアレですが、難を言えば、アームホールがでかくないか?と思ったけど、まあいいや(細かいよ)。
あとは“声”ですよね、驚いた☆舞台人の声でしたもの。トレーニングしたんだなぁ〜と感心すると同時に、じゃにってボイトレはよっぽどのことがないとやらないんだなぁ・・・とも思ったり。



考えれば考えるほどもんもんとしちゃうのが、シャネルのこと。彼女って結局、最後は自分で自分のことを不幸だと思ってたの?シャネル関連の本とか読んだことないから全く知識はないのだけど、晩年不幸だった女性というイメージだけどほんとに?だとしたら悲しいなー。後から勝手に周りがつくったイメージであって、実際には“ちょっと!勝手に不幸にしないでくれる?!”くらいな人だと思いたいや。
ストライキの場面は、そうだなー、どっちの言うこともわかるかな・・・。支持できるのはシャネルの方だけど。物を創る=作品の出来が100%なわけで、いくら何時間がんばろうがイイものができなきゃ、それは出来たことにならないもの。“姉さんだってがんばったわ!”って一番嫌いなセリフ。でもストライキを起こす気持ちもわからなくもない。結局はコレクションに賭ける情熱の差で、雇われて、仕事として割り切って働いている人とでは差があって当たり前。シャネルは他の人もみんな自分と同じように、仕事にプライドもって、妥協せずに働くものだと思ってたんじゃないかなぁ・・・でも実際は、そうじゃない人もたくさんいるわけで・・・ってこれは数年前に私が体験したことなんですけどね(笑)もちろん私は経営者じゃないし、ストライキ!とか大きなことじゃなくて・・・デザイン事務所で別にデザインやりたいわけじゃないのに働いている人や、そうとわかってて採用する社長とか・・・そういうのを知っちゃうとガッカリしちゃうんですよ。怒りじゃなくて失望。この舞台を見てて、私はそんな自分の体験を思い出して、複雑な気持ちになりました。ふふふ、自分とシャネルと同じに考えるな!って話ですけど(笑)それに今の私はお仕事に妥協しまくりです。これじゃいかん〜と思いつつ、それで通っちゃうんだからまぁ、いっか、と。ダメだ〜これじゃダメだぁぁぁ。

*1:だと思うけど自信はない。普通に燕尾服の襟だったかも