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十二月大歌舞伎・昼

うだうだしてたら家を出るのがすっかり遅くなってしまい、観たのは後半の2つだけ、ネタバレ注意です。特にりびんぐでっどはネタバレなしでのご鑑賞をオススメします!

三、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん )
 山蔭右京   勘三郎
 太郎冠者   染五郎
 侍女千枝   巳之助
 侍女小枝   新 悟
 奥方玉の井  三津五郎

嫉妬深くこわーい奥さん(三津五郎)の目をなんとか盗んで愛人に会いに行こうとする旦那(勘三郎)が太郎冠者を身替りに仕立て出かける。しかし奥さんはそれに気付き、逆に太郎冠者と入れ替わり旦那の帰りを待つ。そこへよっぱらった旦那が上機嫌に帰宅、奥さんと気付かずに愛人と楽しく過ごしたことを報告し奥さんの悪口にまで発展したところで、それが奥さんと気付く・・・というお話。コメディですな。三津五郎さんの女形ー!!ぶっちゃけ美しいとは言い難く(笑)迫力あったけど、やっぱりどこか上品で、嫉妬心も旦那大好きな気持ちからきてるんだろうなぁ〜と思えてかわいかった。勘三郎さんと染さまのびくびく怯える姿もちょーおかしかった!安い席だから仕方ないけど、サイド席で下手側が全然見えず、巳之助くんと新悟くんがほとんど見えなかったのが残念でした。

四、大江戸りびんぐでっど(おおえどりびんぐでっど)
 半助     染五郎
 お葉     七之助
 大工の辰   勘太郎
 根岸肥前守  彌十郎
 遣手お菊   萬次郎
 丁兵衛    市 蔵
 与兵衛    亀 蔵
 佐平次    井之上隆志
 紙屑屋久六  猿 弥
 和尚実は死神 獅 童
 石坂段右衛門 橋之助
 女郎お染   扇 雀
 女郎喜瀬川  福 助
 四十郎    三津五郎
 新吉     勘三郎

期待のクドカン歌舞伎、私はすごく楽しめました!一瞬たりとも眠くならなかったよ(とても珍しいことなのです)。ちょっと違和感覚えたのは音楽かな・・・あれはナマじゃなくてテープ流してるの?歌舞伎の生演奏をわりと楽しみにしてる私としてはそこだけひっかかりました。テーマ曲のダンスはミュージカルです、群舞です。みなさんキレイに、さらりとスリラー風ダンスもこなせるんですねぇ。幕間のイヤホンガイドが勘三郎さんとクドカンの対談で、そこでクドカンが「歌舞伎には、劇団なら1〜2人いればいいカンジの方がずらりと揃ってる」みたいなことを言ってたけど、ほんとにそうだよなぁぁぁ。
ストーリーをまとめるのも難しいなぁ・・・。新島で幸せに暮らしてた腕利きのくさや職人の新吉(勘三郎)・お葉(七之助)夫婦だが、あるとき秘伝のくさや汁を狙った物盗りに新吉は刺されて死んでしまう。妻のお葉は江戸へ出てなんとか旦那が守ったくさやを売ろうと頑張るものの、なかなか上手くいかない。そこへやはり新島でくさやを作っていた、腕の方はさっぱりだけど口だけは達者な半助(染五郎)がお葉を追って江戸へ出てくる。ちょうどその頃、江戸ではゾンビが増殖して人を襲う事件(ゾンビに噛まれるとゾンビ化する)が起き、半助は得意の口先だけでお奉行様たちを丸め込み、ゾンビを派遣として働かせ自分はその元締めにおさまる(そもそもゾンビは、新吉のくさや液が素晴らしい出来すぎて、そのくさや液をかぶった死体が動き出したもの)。尽くした甲斐ありお葉も半助を受け入れ、幸せに暮らし始めたところへ、死んだはずの新吉が現れる。新吉もゾンビ化してしまったのか?焦る半助、新吉を殺したのは自分なのだから。密かに新吉を始末しようとする半助だったが、逆に新吉に噛まれてしまう・・・ところがゾンビ化しない半助。なんと新吉はあのとき死んでおらず、もちろんゾンビでもない。逆にあのとき滑って倒れ、石に頭を打ち、くさや液まみれになったのは半助の方だった・・・。半助は今まで自分が死んでいることに気付いてなかった!大ショックの半助・・・でも最後は好きな人を守ることが自分のやるべきこと!と決意します。
ふかーく考えると、生きてるけど死んでいるように暮らしている人、死んでいるけどいきいきと暮らしているゾンビ・・・生と死の堺はなに?生きるってどういうこと?というテーマだと思うんだけど、そこはクドカン、暗く深刻にならず、派遣業という時事ネタもからめてキレイにまとまっているな〜と思いました。
七之助さんは女形として姿が美しいのはもちろん、声がとても澄んでいてキレイ。三津五郎さんが田村○和風のちょー気障でかっこつけなお侍さんで笑えたよぅ!染さまは一見明るくてあほっぽいけど実は影のある役がお似合いですー。影の部分が出てくるほどに色気も増すんですよねぇぇぇ。しかしこの舞台も下手側がほぼ見えなかったので、客席が大爆笑してる部分でいくつか見えないところがあって残念でした。ほんっと最近、歌舞伎会先行でもサイドの席しか取れない><。来年からは特別会員なので、もう少しイイ席取れるといいなぁ。